住まいの防犯対策は、家族が安心して毎日を過ごすための重要なポイント。
特に、マンションより防犯性に劣る戸建て住宅では、空き巣など侵入犯罪のリスクが高いため、しっかりとした対策が必須です。
今回は、住宅への侵入犯罪のよくある手口から、それぞれの傾向や対策を見ていきましょう。
戸建て住宅は空き巣に狙われやすい
警察庁「刑法犯に関する統計資料」によると、2024年に全国の住宅で発生した侵入窃盗の認知件数は1万6,962件。このうち戸建て住宅で起きた侵入窃盗は1万2,475件で、全体の7割以上を占めています。
どうして戸建て住宅が狙われるのかというと、戸建ては1階に窓や玄関、勝手口などの侵入経路が集まり、侵入者が簡単に入りやすいということが挙げられます。高い塀や物置、枝が伸びきった庭木などは侵入者が身を潜める死角になりやすい上、マンションのような24時間有人管理や防犯カメラといった監視の目もありません。こうした理由で、戸建ては侵入犯罪の格好のターゲットになりやすいのです。
空き巣などが侵入する手口と、その対策は?
2024年の戸建て住宅への侵入窃盗において、住宅に侵入した手口は次のとおりです。
【侵入窃盗の侵入手口(戸建て住宅の場合】
1位 無締り(43.5%)
2位 ガラス破り(35.2%)
3位 ドア錠破り(2.6%)
・1位 無締まり(43.5%)
最も多かったのが、鍵のかかっていない箇所から家に入る「無締り」です。浴室やトイレの小さい窓、2階の窓であっても侵入犯罪の被害に遭う可能性があるため、換気や通風のために窓を開けっぱなしにしたり、「少しの間だから」といって玄関の鍵をかけずにゴミ出しに出かけたりするのは厳禁です。
なお、住宅での侵入窃盗は留守中の家に入る空き巣のほか、夜間の就寝時や食事中など在宅時を狙って侵入する手口もあります。外出時はもちろん、在宅時も忘れずに鍵をかけるようにしましょう。
・2位 ガラス破り(35.2%)
窓ガラスを破壊し、そこから手を差し込んで解錠する手口が「ガラス破り」。ハンマーなどで叩く「打ち破り」、窓ガラスとサッシの間にドライバーを差し込んで穴を開ける「こじ破り」、バーナーで焼いた後に水などで急冷して破壊する「焼き破り」といった複数の手口があります。
ガラス破りの対策としては、割れにくい防犯ガラスにしたり、補助錠を取り付けたりする方法が有効です。侵入者の7割は侵入に5分以上要すると侵入を諦めるという傾向があるため、破壊や侵入を手こずらせる防犯ガラスや補助錠で侵入を諦めさせるのです。
さらに、雨戸やシャッター、面格子を窓に取り付けることで、窓を守るとともに心理的に侵入をためらわせる効果も期待できます。
・3位 ドア錠破り(2.6%)
玄関ドアと枠の隙間にバールなどを押し入れ、てこの原理でドアを強引にこじ開けて侵入する手口です。ドアと枠の間に隙間があって、かんぬきが見えているような場合は、「ドア錠破り」に注意が必要です。
対策としては、ドア枠に「ガードプレート」と呼ばれる金属製のプレートを取り付け、隙間がなくなるようにします。また、防犯性能の高いドアへの交換も検討しましょう。
防犯性能の高い「防犯建物部品」とは
窓・ドア・サッシ・錠・シャッターなどの建物部品のうち、侵入に対して5分以上の抵抗力が認められた商品は、防犯性能の高い「防犯建物部品(CP部品)」として緑色の認定マーク(CPマーク)がつけられています。CP部品は侵入を完全に防ぐものではありませんが、建物部品を選ぶ際の目安にするとよいでしょう。
住まいの防犯性能をアップ!
どんな立派な家であっても、防犯対策がおろそかだと、安心して生活することはできません。家族のよりよい暮らしのために、住まいの防犯性能を高めて犯罪から身を守りましょう。